安価な家を造るハウスメーカーが増えてきたことへの違和感が無い？　＃店長流

最近、ネットの広告で目に入ってくるのが、ハウスメーカーの広告。

しかも、価格がとても安く１５００万円を切ることもある。

とてもキャッチーな広告だ。

気になって広告の内容を見てしまう。

とても立派なサイトが仕上がっていて、色々と魅力的な商品の説明をしている。

それを一通り見てみると、また同じような広告に出会う。

しかし、今度の広告は先ほどとは別の会社のようだ・・・

また気になって見てみる。

また立派なサイトで魅力的に商品の説明をしている・・・

実際にこんな広告を1日に一回は見つける。

私が業界人だから、広告との親和性が高いため他の人よりも多く目にしているのだろう。

しかも、それを行っているのは1社だけではない。

だから多く目に入ってくるのだろう。

今私が知っているだけで５社以上ある。

これに違和感を感じないのは、住宅は一回建てたらしばらくは新しく建てない商品だからだろう。

私のような業界人はハウスメーカーがこれまでどのように宣伝し、どのような商品を売ってきたか知っている。

その経験からすると、今の状態は明らかにおかしいのである。

ご存じの方も多いと思うが、ハウスメーカーの建物は高い。

私達のような工務店の家に比べ、倍以上することも少なくない。

その代わり使っている部材、カタログや説明資料の品質、接客をする担当の接客マナーの高さ、CMや宣伝でのブランドづくり。

そういったものを高品質にしていくことで、高いことを正当化してきた。

時にはこんな営業をするハウスメーカーがある。

『一生に一度の買い物がそんなに安くていいんですか？人生後悔しませんか？

当社の建物は今後数十年以上も誰にでも自慢が出来る建物です。安心してお買い求め下さい。』

皆さんも経験があると思うが、人は高い買い物をする方が満足感を得ることが出来る。

この経験がある人ほど、また安価な商品を買って痛い目を見たことがある人ほどこの言葉に弱い。

一生に一回の大事な買い物で後悔をする・・・

これは絶対に避けたい・・・・

そんな気持ちを根拠もなく造りだす手法だ。

工務店で家を建てた方なら分かると思うが、今の工務店の建物は一昔前のハウスメーカーの建物よりもずっと良い。

性能も、機能も、デザインも、設備もどれも良くなっている。

それでもまだハウスメーカーとの金額差があり、かなりお得に良い建物を建てられる時代になった。

そこで本来のハウスメーカーがしなくてはいけないことは、よりもっと品質の差をつけること。

工務店との価格差以上の価値を出していくのが、これまでのハウスメーカーのやり方だし、そういった物であると思って買った過去のお客様のためにも、そうしないといけない。

じゃないと過去のお客様には嘘をついたことになる。

工務店と同じ建物を同じ値段で建てたとしたら、ハウスメーカーの建物の価値が下がり、過去のお客様は自慢できなくなるからだ。

この違和感を感じない人はいないと思う。

でも、今のトレンドなんだろうが、ハウスメーカーが安売りを始めている。

これは本当に違和感でしかない。

方針転換ですと言われたらそれまでなのだが、もし自分がハウスメーカーで家を建てた人だったら納得がいかない。

詐欺とまでは言わないが、嘘をつかれた気分になるし、今まで多少なりとも自慢をしていた自分の家が途端に安っぽく思える。

そんな人は将来に自分の子供に、ハウスメーカーで家を建てろとは言わないだろう。

少なくても、自分の家を建てたメーカーは絶対に駄目だとなる。

経営からしてみても、そこに大きな違和感を感じる。

実はハウスメーカーで家を建てるお客様の多くは、実は紹介されて家を建てている。

自分の親だったり、親戚、友人、会社の同僚と色々な人からの紹介がほとんどだ。

紹介とかのしがらみが嫌で、口に出して紹介を受けたとは言わない人でも、その多くが一度は紹介をされている。

それだからハウスメーカーは安定して家を売ることが出来ていると言うデータもある。

それを今回の流れは断ち切ろうとしている。

私が経営陣ならどうにかしていると言われてもおかしくない方針だと言える。

この方針転換の大きな原因は、これまでの運営方法のつけが原因の一つだと言われている。

これまでのハウスメーカーの家の作り方は、基本自社では行わないようにしてきた。

ハウスメーカーはメーカーと言いながら帆ととんどの工事を、子会社や関連会社、協力会社と言った外部に委託し、自社では造ることをしない。

悪意を込めた言い方をすれば、営業で仕事だけを取ってきて、頭をピンハネして、外部に作らせる会社と言える。

工事を請ける会社を下請け会社と言うが、下請け会社はピンハネされているとは言え、仕事を安定してもらえるし、自分達で営業をする必要が無いので、ある程度安い金額でも我慢してやってきた。

しかし、このコロナ過やウッドショック、戦争問題と引き続き起きた情勢で大問題が起きた。

そう、ハウスメーカーの売り上げ棟数が激減したのだ。

しかし、棟数が減る代わりにハウスメーカーは売上金をその分上げることで対応し、実は売り上げ棟数が減っているにも関わらず、大きな利益を出している会社が多い。

だから、ハウスメーカーからしれみたらこれ以上無いこと。

だって仕事が減ったのに売り上げが増えれば、仕事量は減って仕事の時間も減るのだから良いことしかない。

だが、問題なのは下請けだ。

下請けは自分達で営業をしないので、ハウスメーカーの棟数が減ればその分売り上げが下がる。

売上金が上がりハウスメーカーはウハウハかもしれないが、その上がった金額を下請けに回すことはしない。

あくまでもハウスメーカーの売り上げにしかしない、じゃないと減った棟数分の利益を確保出来ないから当たり前なことになる。

だから下請けは今とても困っている。

売り上げが無いくらいならまだ良く、工場を稼働しても意味が無いから、従業員の整理を始めている会社もある。

なので、下請けから値交渉をされ始めたハウスメーカーだが、減った棟数のまま下請けへの発注金を上げれば、今度は自分達が困る・・・

そこで考え付いたのが『安売り』作戦なのだ。

ハウスメーカーの建物は高いし、これまでの情勢でより高くなっているので、誰しもが買える値段ではなくなっている。

だから棟数を増やすことはほぼ不可能。

だったら、安い商品を作ってそれを売れば棟数が増えるじゃん！

そんな安直な考えだとは思いませんが、多分これに似た発想であることは間違いないと思う。

結局、今まで作っていたブランドも実はそんな程度な物であると言っても良いのかもしれない。

しかも、ハウスメーカーは造れると勘違いしているだろうが、普段高い物を作っている会社がいきなり安価な物を作ろうとしても絶対に出来ない。

安価な物を安い値段のまま、しっかり作るのにもしっかりとした技術や方法が必要だ。

高い物の場合は工事中の多少の金額の誤差は許されるのかもしれませんが、安い建物はそれが許さない。

なので、高い建物よりも、よりしっかりとした工事管理が必要になる。

これは飲食業界でよく聞く話だが、高級料理店でシェフをやっていた人は、大衆料理屋では手が遅すぎて使い物にならず、大衆料理屋のシェフは高級料理屋では手が早すぎて注意が足りず使い物にならない。

そんなことが住宅にも当てはまる。

それがハウスメーカーの下請けに出来るのだろうか・・・？

私は正直難しいと思う。

なので、どこかきっとひずみが生まれ、それで迷惑をするのはお客様であろうとみている。

そんな私が今ここで言いたいことはただ一つ。

『一生に一度の買い物がそんなに安くていいんですか？人生後悔しませんか？』

今回の記事で私は安価を買うことの批判はしていません。

むしろ今までのハウスメーカーの建物は安すぎたので、今くらいがちょうど良いと思っています。

しかし、ハウスメーカーで安価な家を買うのもハウスメーカーが売るのも反対をします。

やはりハウスメーカーで建てるなら、高くていい物を建てるべきだし、安価の家を建てるらそういったことが得意な工務店で建てるべきです。

得意な物を得意に作ること。

これを行っている会社でぜひ検討をしてみてくださいね＾＾

では、また！

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